サイエンス カフェ

腸を整える:腸内細菌バランスの改善について(3)

発酵食品が体に良いとしばしば耳にしますね。発酵食品とは、その名の通り、食物を発酵して作った食材の総称です。味噌や醤油、麹などは日本文化の誇る発酵食品ですね。サイエンス・カフェ#2でも触れましたが、家庭で炊飯器で簡単につくれる甘酒は、本当に元気の素です!
そのほかの代表選手は、やはり納豆、キムチ、チーズでしょうか。日本食文化、韓国食文化、欧米ほか世界の様々な地域の食文化など、多様な味わいのなかで発酵食品を楽しむことができます。これらの食品のなかには、独特な菌(例えば納豆に含まれる納豆菌、麹、味噌、醤油には麹菌)や共通にみられることの多い乳酸菌やビフィズス菌が含まれます。チーズにもキムチにも乳酸菌が含まれると考えると、少し不思議な感じもしますね。
発酵食品を定期的に摂っていると、腸内がわずかながらですが、善玉菌の好む酸性に傾きます。善玉菌がさらに活発になると、発酵食品をどんどん分解して、代謝物として短鎖脂肪酸を発生させます。ここがとても重要で、短鎖脂肪酸と呼ばれるプロピオン酸や酪酸(脂肪酸の骨格となる炭素原子の数がそれぞれ3つ、4つで、化学式はC3H6O2、C4H8O2)が増えてきます。(ちなみに乳酸は炭素数3で、化学式はC3H6O3です。)これらの役割として、免疫細胞の働きを高めることが分かってきました(Nature, 504, 446-450, 2013)。これらの脂肪酸は、制御性T細胞と呼ばれる大事な免疫細胞の数を増やします。加えて、乳酸が自然免疫を介することによって病気の感染を防ぐ可能性が示されたこともあり、善玉菌と免疫の関係に大きな注目が集まっています。
ところで発酵食品を食べるとき、コンビネーションのアレンジも楽しいです。よく混ぜた納豆に少量のキムチを入れてさらによくまぜて、そこに粉チーズをパラパラと振りかけて、、、ビールのおつまみにばっちりです。

次回は腸と免疫について、少しまとめてみたいと思います。
それではまた。

続く

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