サイエンス カフェ

閑話休題:ガーデンセラピー

みなさん、
今回は、ナッツ類のエビデンスのお話をお休みして、ガーデンセラピーについてお伝えしたいと思います。
家庭菜園などのガーデニング、庭いじり、土いじりを行うことによって、人はなぜ充実感を得るのでしょうか?直接に土にふれなくとも、森の中や近くを歩くことによってもまた、なぜ爽快感を得ることができるのでしょうか?少し調べてみると、(一社)日本ガーデンセラピー協会(https://www.garden-therapy.org/about.html)や日本園芸療法学会(https://www.jht-assc.jp/hagiwara/)という団体が既に実在し、様々な活動を行っているようです。
我が家の小さなキッチンガーデンで春先から苗を植えての充実感、収穫時の達成感など、さまざまなポジティブな感情を得ることができます。畑を耕した日の夜の心地よい疲れ、トマトやシソ、バジルなどを収穫する際のとても良い芳香、などなど。ハサミを入れた切り口から、瞬時に揮発性の成分が放たれ、ヒトの嗅覚に刺激を与えているのでしょう。森林浴においても、たしかヒノキ由来の揮発性成分ヒノキチオールなどが空気中に含まれている、、、そのようなデータを目にしたことがあります。ビニール袋で空気(大気)をサンプリングし、ガスクロマトグラフィーかなにかで分離、分析定量する、、、そんな研究だったかと。
こういった「ポジティブな感情」をより科学的に検証するため、認知症の方々の生活の質Quality of Lifeを向上させる可能性についてまとめられた論文がありました(Yajie Zhao et al., Effectiveness of horticultural therapy in people with dementia: A quantitative systematic review. J Clin Nurs. 2020 Feb 4. doi: 10.1111/jocn.1520)。中国、北京大学のZhao先生らによると、過去に行われた複数のガーデンセラピー/園芸療法関連の臨床研究(ランダム化比較試験)のシステマチックレビューを行い、その結果、認知症方々411例での研究から認知機能、意欲、ポジティブな感情などについて参加型園芸療法の有効性が示されました。単なる鑑賞では効果はなく、やはり自分で手を動かすことが大切なようです。
おそらく、上手い下手はあまり関係なく、土に触れる、緑に触れることが大切なのだと思います。プランターひとつの小さなガーデニングや、もしかしたら台所の片隅で豆苗を育てることでも、効果が期待できるのかもしれません。認知症の方々への、非薬剤療法は様々であり、とても奥が深いを感じました。なお、Zhao先生のご所属は、Peking University Health Science Centre for Evidence-Based Nursing, A Joanna Briggs Institute Affiliated Group, Beijing, Chinaとのことで、エビデンスに基づく看護をご研究されています。

次回は、「ナッツ類のエビデンス(5)」をお送りします。
それではまた。

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