サイエンス カフェ

古の知恵とエビデンスその3~ピーカンナッツの殻???

みなさん、
気象庁によると、今年は13日間連続での雨となり、異例の長さとのことです。私が子供のころの梅雨は、しとしと、アジサイ、カタツムリ、でした。それが今や風情などどこにもなく、ただただ災害が起こらないようにと祈るばかりです。皆さまの無事と平穏を心より願っています。

さて、今回は「古の知恵とエビデンスその3~ピーカンナッツの殻???」として、とうとうピーカンナッツのお話です。と言っても、ナッツの食べる部分ではなく、殻についてです。

前回のお話のとおり、ピーカンナッツは北米原産で、アメリカ先住民族のピマ・インディアンの人々の貴重な栄養源でした。彼らは可食部分を食した後、なんと殻まで利用していたと伝えられています。どのように利用していたかというと、殻を良く乾燥してから粉砕し、煎じてお茶として飲んでいました。ピーカン殻のお茶とは???おいしいのでしょうか?はい。もちろんです。やってみました!百聞は一見にしかずですね。果たしてそのお味は・・・とてもマイルドで、渋みが少なく、優しい飲み当たりでした。(その様子はまた別の機会に。)

おそらく廃棄物である殻を、太古の昔、インディアンの誰かが、何を思ったのか、はたまた偶然なのか、お茶のような利用方法をつき、発展させてきたのでしょう。そのような歴史に興味をもった現代の科学者が、美味しさだけではなく、健康機能の観点から科学的な証拠、つまりエビデンスの獲得を行いました。一般に、植物の殻や皮にはたくさんのポリフェノールやフラボノイドが含まれます。太陽の有害な紫外線やウイルス、バクテリア、空気中の酸素や湿気などから身を守るために沢山の抗酸化物質を殻や皮に蓄えているのです。赤ワインの健康効果はフレンチパラドックスと呼ばれていますが、これは皮に沢山含まれるポリフェノールのお陰と考えられています。つまり白ワインには期待できないわけです。。これらは原材料にぶどうの皮が含まれるか否か、の違いに基づきます。
ピマ・インディアンの皆さんは、知ってか知らずか(いや、もちろん知らなかったはずですが)、ポリフェノールやフラボノイドが豊富な煎じ茶を楽しんでいたということです。

次回は「古の知恵とエビデンスその4~ピーカンナッツの殻の研究」を紹介します。
それではまた。

続く

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